
アルツハイマー病の早期発見
「血液検査」でアプローチ
投稿日:2026年10月14日 編集長平山久仁子
劇的に進化する日本の早期発見アプローチ
現在、医療DXの推進とともに、血液一本でアルツハイマー病(AD)の兆候を捉える研究が実を結びつつあります。
1、90%以上の高精度「p-tau217」への期待
日本の最新の研究データ(J-ADNI)において、血液中の「p-tau217」を測定することで、脳内のアミロイドβの蓄積を90%以上の高精度で予測できることが実証されました。これにより、大がかりな装置がない地域のクリニックでも、アルツハイマー病の早期発見へのアプローチが可能になること期待できます。
2、新薬(レカネマブ等)の適応判定をスムーズに
進行を抑える新薬(レカネマブやドナネマブ)の投与には、事前に脳内のアミロイドβ蓄積を確認する必要があります。そのためには、これまで高額なPET検査や痛みを伴う髄液検査が必須でした。しかし、今後これを血液スクリーニングに置き換えるための検証が、国内の医療機関で進んでいます。
3、グローバルな医療インフラへの貢献も
日本の製薬企業などは、高度な医療設備が乏しいアジア圏などでも、血液バイオマーカーを活用した検査インフラのグローバル展開と普及活動に力を入れ、誰もが診断を受けられるよう貢献していくことをめざしています。
社会実装・普及へ向けた「4つの壁」
期待が高まる血液検査ですが、実際の臨床現場や健康診断などに広く導入するためには、いくつかの課題があります。
1. 測定の正確性
患者様の身体的特徴や持病による測定への影響が見られます。体格(BMI)や腎機能の低下、糖尿病などの持病によって、血液中のバイオマーカー値が影響を受け、正確な診断を乱す可能性が指摘されています。そのため、今後、個々の身体状況に合わせた基準の確立が急がれます。
2. 地域における医療リソースの格差
血液検査自体はどこでも手軽に行えます。しかし、「陽性」と判定された患者様を受け入れ、確定診断や治療を行える専門医の不足、高度医療機関の地域格差など、対応力に差が生まれることが懸念されています。
3. 心理的・倫理的な配慮
まだ症状が出ていない段階で、「将来、発症の高いリスク」と判明した場合、発症を防ぐ治療法が未確立な現状では、患者様やご家族に過度な不安を与えてしまうことが予測されます。そのため、日常診療での安易な利用には、慎重なガイドライン、ケア体制の整備が求められます。
4. リアルワールドデータ(実臨床データ)の不足
治験や一部の研究施設だけでなく、多様な高齢者患者様を対象とした、国内の臨床現場での実用データの蓄積は、まだ始まったばかりです。
脳と身体の統合ケアがつなぐ未来 Almamaの視点
血液バイオマーカー(BBM)やデジタル技術を用いた早期診断は、これからのシニアケアの質を大きく向上させる強力な武器となります。
しかし、大切なのはリスクが見つかった後に、
糖尿病などの生活習慣病管理
ターメリックやナッツを取り入れた食事法
明日からできる老化予防
といった「脳と身体をトータルでケアする予防アプローチ」です。暮らしの中から予防へのライフスタイルの創造へ、行動がシームレスにつながっていくことです。
確かなエビデンスに基づく最新医療の動向を正しく理解し、当事者と医療現場の架け橋となることで、誰もが自分らしく生き切ることができる未来を共に築きたいといていきましょう。
※本記事は、認知症診療における最新の科学的エビデンスおよび国内外の導入議論の動向に基づいて作成しています。実際の診断や治療については、必ず専門の医療機関にご相談ください。