
脳を守る理想の枕
2026年7月20日 平山久仁子(Almama編集長)

脳の血管に障害が起きる脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など脳卒中は、認知症へのリスクを高めます。
1月30日に発表された、国立循環器病研究センター(国循)研究チームの新しい疾患「殿様枕(とのさままくら)症候群(英語名=Shogun pillow syndrome)」は、枕の高さと脳卒中の発症リスクの分析結果からのネーミングです。
同チームの江頭柊平(しゅうへい)医師(現・京都大)は、「高い枕で寝る人には、脳卒中の原因の一つとなる特発性椎骨(ついこつ)動脈解離の発症リスクが高めである」と話しています。
頭を支える骨の負担


成人の人間の頭の重さは体重の約10%、約4㎏~6㎏ぐらいになり、背骨に繋がる頭を支える首の骨・頚椎には、いつも大きな負担がかかっています。
頚椎には、左右に2対(首の前側:頚動脈、首の骨の中:椎骨動脈)の脳に栄養を送る動脈があります。動脈は内膜、中膜、外膜の三層構造で、その一番内側の内膜が傷つくと血管の壁の中に血液が入り込みます。この内出血により血管が膨らみ、裂けると、椎骨(ついこつ)動脈解離が発症します。
動脈解離のリスクは全身の動脈にありますが、頭部の椎骨動脈解離は最も発症が多いところです。椎骨動脈解離が起こると、突然激しい頭痛に襲われ意識障害を起こすこともあります。
血管の裂ける程度が軽くすぐ治療を受ければ、大きな問題になることは稀ですが、血管の裂ける場所、裂ける程度によっては、脳に血液が送れなくなります。
末梢血管が詰まると脳梗塞、血管の壁が外側まで裂け、血液が脳内に漏れ出すとくも膜下出血などにつながることがあります。

特発性の椎骨動脈解離は脳卒中リスク全体の2%程度です。そのうち2割近くが死亡もしくは後遺症が残る疾患に繋がると言われています。
枕の高さとリスクの関係
2018~23年、国循の研究チームは、15cm以上の枕を使っていた9割の人に、特発性椎骨動脈解離の発症が確認されました。
枕が高いと首の屈曲が大きくなり、血管が圧迫されたり、寝返りを打ったときの衝撃なるも大きいなることが考えられます。また、やわらかい枕に比べ、硬い枕も発症リスクを高める傾向があると報告されています。
枕が合ってないと?
枕の高さが負担になっていると、日常的に体からのSOSサインを見落とさないことが大切です。
例えば、朝起きたときに首の後ろや肩が凝っている。首の後ろや肩が痛くなる。また、枕から頭が落ちていつの間にか枕を使わずに寝ている。いびきをかきやすい。気道が圧迫されて、朝起きたときに口や喉がカラカラに渇いているなどは、一度高さを見直すことをお勧めします。
逆に枕が低すぎるよ、夜中に目が覚めて、枕の下に手や腕を差し込んで高さを足している行動が見られたりします。
枕の高さや柔らかさには、人それぞれに好みがあります。
しかし、枕の高さには理想とされのは、平均的男性は約5~6㎝、女性は約3~4㎝と言われています。
理想の高さの測定法
仰向けで寝る場合チェックリスト
視線の位置:天井を見あげず、視線はやや足元(10〜15度くらい下)に向ける。
首のすき間:敷き布団と首の後ろに、手のひらが入るほどの「すき間」がない。
あごの角度:あごが上がりすぎるのは高すぎ。あごが引きすぎて息苦しくいのは低すぎ。
肩の浮き:首から肩にかけてのラインが自然に布団に着き、肩が浮いて緊張していない。
背骨のライン:額、鼻、あご、胸元の中心を結ぶ線が、敷き布団と「平行」。
肩への圧迫感:下になっている側の肩に体重が集中して痛い。窮屈に感じない。
💡 理想的な高さを調整する「かんたん裏ワザ」
今の枕が「低い」と感じる
枕の下にバスタオルを敷いて数ミリ単位で高く調整してみてください。
「高い」と感じる
中身を抜くことができる枕であれば少し減らす。低めのバスタオル枕を自作してみるのがおすすめです。
心地よい枕の柔らかさは、頭をのせた時に2cmほど頭が沈む硬さ。
ただ、実際にはベッドのマットレスや布団の柔らかさにも影響を受けます。
1㎝単位で微調整しながら、自分にとって快適な髙さを見つけるとよいでしょう。
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